【PEST分析による申請書作成】事業再構築補助金に使える考え方

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのcyphs(サイフス)です。

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このページは事業再構築補助金に係わる情報発信をしています。

以下のページにこれまでの情報発信をまとめていますのでご活用ください。

https://www.cyphsjp.com/money/jigyou-saikouchiku/wakaru/

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事業再構築補助金の準備に取りかかっている企業さんも増えてきているところだと思います。
今回の補助金はアフターコロナ等に向けた事業再構築、転換を進める意思のある企業様でかつコロナで一定程度のダメージを受けた方が対象となります。

先日のブログにてSWOT分析について説明しましたが、申請書を作成するに当たっては自社を分析することが求められます。
これって中々難しいですよね。あるコンサルタントが突然きて貴社の強みを聴かせて欲しい、と言われて困ったことがある企業様も多いかと思います。また説法好きのコンサルタントが貴社の強みはこうだ!といっても、「本当かよ。。。」と思うに違いありません。
加えて、コンサルタント自身が適切に自己分析ができていないケースがあり、初めて取り組む企業様においては至難の技と思っています。

そうはいっても検討しないと申請書は書けないわけですから、現状分析にトライしてみてください。

まずはPEST分析を考える

PEST分析とは、自社が制御できない外部環境であるマクロ環境を分析するフレームワークです。

そのマクロ環境がどのようになっているかを「Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」の4つの視点で分析するものです。

PEST分析には大きく2つの考え方があります。ケースとしては以下のとおりです。
①自社の取り巻く環境を制約無しで考えていく、社会の課題や技術のトレンド、人口動態等も含めて大きな潮流を考える必要がある場合
②自社のヴィジョンが明確であり、既存業界や新規業界において進みたい方向性が明確である場合

よくわからないですね。。。

<どのようなケースで使われるか>

①の場合:前者においては新たな顧客を探しだし、それらの人たちが抱える課題を見つけて、そこから新たな製品・サービスと事業を起こしていく形になります。つまり、ゼロベースで何かを考えるケースといえます。

 

②の場合:後者は自社が進もうとしている方向性をどう評価するかということになります。つまり、仮説を検証するケースといえます。

前者がデザイナー、マーケッター等の全く新しいものを創り出す過程で使われるPEST分析で、後者は社長が進むべき方向性の妥当性を確認したい際にコンサルタントが分析をしていく過程で行うPEST分析というと分かりやすいでしょうか。

(もちろん両方の視点でPESTを行うとより良いのですよ)


どちらが正しいかというのではなく、会社の置かれた状況において使い分けたり、2つを示したりすれば良いのです。

今回の事業再構築補助金については、やりたいことが明確な訳ですから、その取り組みの妥当性となる市場性、成長性、参入障壁、需要と供給の関係性(価格)等で入っていけるチャンスがあることを浮き彫りにすることです。つまり、社長の仮説を検証するために行う分析といえます。
よって、基本的に申請者の皆様は、後者の視点で取り組むことが必要となりそうです。

 

事業再構築補助金で活用する際のテクニック

PEST分析は調べる際に相当な時間がかかりますので、時間がない社長様のために以下にポイントをあげさせていただきます。

 

1.Politics(政治)

政治的な追い風、逆風といえば、規制や免許、税率、今回のような補助金等かといえます。
今回申請するに当たって、貴社が向かう業界やビジネスに足枷となる事象はないでしょうか、参入障壁が低いようにみえて、商慣習上新規参入ができないケースもありますのでその点はしっかりと確認してください。

2.Economy(経済)

経済的にみてコロナは逆風です。一方で金利は下がったことや金融機関以外からの借手も選択肢になったことから、チャンスともいえます。
もちろんそういう融資を受けると金融機関からの借入ができなくなる可能性が高いですが。。。
さらには、大手の経済活動がICT化されつつあるため、それに伴う新たなビジネスが生まれています。

3.Society(社会)

今回補助金に申請される企業において最も重要だといえるのは、この「S」かと考えています。
SNSやWEBの普及により人々の生活は細分化されており、多様化が進んでいます。これは余程のことがない限りこの先も変わることはないでしょう。

また、直近の目線で考えるとコロナにより社会のマインドが消費を控えたり、消費についてはインドア消費が急増しています。
そもそも長期的に見れば人口動態からみて人口が減り続ける訳ですから、経済環境も大きく変わるでしょうし、行政的にはスモールタウン的なコンパクトシティ化する状況等が見通せます。人々とその取り巻く環境の変化が以下のように様々な業界に絵協を与えることを最初に考えると補助金の申請においてもストーリーを練りやすいといえます。

<各業界のストーリー>

・製造業であれば、リモートワークによる社会環境を見据えた、IT機器の普及を検討する等です

・飲食店であれば世帯内の人数の減少と世帯の増加などです

・サービスは時間の使い方、人との使い方、人との接触の仕方など幅広く変化が起きています

上記のように人々の生き方の変化が経済の大きな変化につながっていることを踏まえ、その変化の中の機会を捉えることが今回の補助金の採択において必要な視点だと考えています。

4.Technology(技術)

技術は、自社にとって取り込めるか、取り込んで使いこなせるかが重要です。
今回であれば自社が保有しておらず、事業を成功させるうえで必要な機能を考えてみてください。
必ずしも最新の技術が必要な訳ではなく、枯れた技術を組み合わせることで、最良のソリューションを導き出すことができれば、それが自社にとっての技術的チャンスといえます。

以上がPEST分析ですが、自社にとってのチャンスを探すこと、または、既に取り組む方向性が明確なのであれば、それが正しい方向であることを証明し、採択されるための根拠として用意することが重要です。

 

是非申請前の準備として取り組んでみてください。