【分析】事業転換での申請において最低限押さえておくべきこと

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

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このページは事業再構築補助金に係わる情報発信をしています。

以下のページにこれまでの情報発信をまとめていますのでご活用ください。

https://www.cyphsjp.com/money/jigyou-saikouchiku/wakaru/

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事業再構築補助金の指針をご覧になった方はお分かりだと思いますが、非常に「難しい」内容となっています。他の補助金よりも簡単という噂がありましたが、はるかに難易度が高いことが分かります。

非常に難しいことを踏まえて計画書を練る必要があります。

 

今回は事業転換について説明させていただきます。
まず前提として新分野展開と大きく変わる訳ではありません。大きく違うポイントは売上高に占める割合となります。

その点を踏まえて読んでみてください。

以下事業転換の概要となります。

 

1.事業転換とは

新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することです。
製造業は「製造業」の業種において、以下で示す産業分類の「中」「小」「細」項目を変更するような新製品の製造・販売を行うことになります。

 

〇主たる業種とは

日本標準産業分類に基づく大分類で指す「農業」「製造業」「情報通信業」「宿泊、飲食サービス業」「サービス業」「 サービス業(他に分類されないもの)」などを指します

 

〇主たる事業とは

日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業です。

中分類:農業、食料品製造業、情報サービス業、宿泊業、飲食店、 洗濯・理容・美容・ 浴場業、 その他の生活関連 サービス業

小分類:耕種農業、畜産農業、 調味料製造業、 ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、 旅館・ホテル、 食堂・レストラン、 理容業、 旅行業

 

「変更することなく」ということのため、業種の変更は不可です。業種を変更される場合は「業種転換」のテーマで申請してください。

 

事業の転換ですので、指針の事例にあるように自社の事業フィールドで新しいことに取り組めばよいといえます。

以下のように事業が変更されていることを示す必要がありますので、探してみてください。

日本産業分類(総務省)はこちら

 

<飲食店>

・日本料理店( 宿泊業,飲食サービス業の飲食店の専門料理店7621)

 → 焼肉店( 宿泊業,飲食サービス業の飲食店の専門料理店7625)

・カレー(その他の専門料理店7629) 

 → 蕎麦屋(宿泊業,飲食サービス業の飲食店のそば・うどん店7631)

 

<サービス業>

・理容業、美容業(生活関連サービス業の洗濯・理容782・美容・浴場業783)

 → エステティック業(その他の洗濯・理容・美容・浴場業7892)

 

<製造業>

・板金加工業( 製造業の金属製品製造業、金属素形材製品製造業の金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)2452)

 → キャンプ用具(製造業の金属製品製造業、その他の金属製品製造業における他に分類されない金属製品製造業2499)

 

2.事業転換とは

事業転換に該当するためには以下を満たす必要があります。

・製品等の新規性要件

・市場の新規性要件

・売上高構成比要件


(1)製品等の新規性要件

①過去に製造等した実績がないこと

過去に製造したことがある製品等の再製造は不可です。

<例>

指針にある日本料理店で考えてみます。

飲食店であれば、日本料理から焼肉、ラーメン、中華等に事業を変更するだけでほぼ満たされます。

しかし、新しく始める事業を中心とする、売上高において最も高い比率を目指すことになるので、日本料理から焼肉として焼肉の売上が一番になるかを考えなければなりません。

日本料理はあくまで日本料理となるため、定食屋等の食堂を目指すでもありますが、参入企業が多いため認められない可能性もあります。

 

②主要な設備を変更すること

主要な製造設備を変更しなければなりません。

<例>

日本料理から焼肉にすれば設備がガラッと変わりますが、中華だとフライパンや包丁等の変更で済んでしまう可能性があります。また、ラーメンへの転換も蕎麦を提供しているのであれば設備の変更が不要といえます。となるとお好み焼きや什器の違うスウィーツが等限られた分野に限られそうです。

     

③競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと

競合他社が製造している製品は不可となります。

<例>

基本的には、現在の競合である日本料理店が焼肉事業をしていないことを説明できれば良いです。

参入していない理由は地域の日本料理店が設備投資をしてまで行っていない事実を現地調査した方が良いといえます。

そもそも焼肉への参入はワタミ等も行っているくらい競争が激しくなってきています。

日本料理店が参入していないとしても、競合は多数いるため現実的にらポジションを切り分けられるかがカギといえます。

価格軸では高級から格安まで埋まっていますし、肉の部材でみた場合、牛、豚は飽和状態です。

残り少ない鳥オンリーかマトンか、馬か、クジラ等は売上高を主要構成比に持っていくのは相当なビジネスモデルが必要そうですね。

違う切り口としては低糖質を主要コンセプトにして、タレを低糖質、酒もビールは出さないなどの切り口であればどうでしょうか。

 

また、焼き肉市場は競合が多いといえますが、所在する地域ではまだ飽和していない等の要因があれば、競合が少ないとうことも可能です(大体の地域に焼き肉屋はありそうですが)。

 

④定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場 合)

製品の性能や効能が定量的に説明できることが必要です。

<例>

 味付けに優れた、肉の効能が違うということは明確に説明することが困難であることを説明できれば良いといえます。

 

(2)市場の新規性要件

①既存製品等と新製品等の代替性が低いこと(必須要件)

②既存製品等と新製品等の顧客層が異なること  (追加評価項目=任意)

 

日本料理と焼肉の代替性は低いといえます。

顧客層も異なります。

したがって、売上が落ちないことが考えられます。


また、飽和している焼肉屋の中でも明確なポジションに位置付けてあれば、加点につながると考えられますので、仕組み等を考えてみてください。

 

(3)売上高構成比要件

ここだけ新分野展開と違いがあります。
3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画である必要があります。
つまり、焼肉屋が日本料理よりも上回る必要があります。ただし日本料理を中心として、定食屋等を営んでいるのであれば、それぞれの割合も下がりますので、焼肉屋事業が最も高い比率を占める可能性は十分ありますが、そうでない場合はある種の賭けともいえます。
自社の事業構成を踏まえて取り組むか否かの検討が必要です。

以上が事業転換において押さえておくべきことですが、業種の変更程ではないにしろ、事業の変更も重いテーマといえることを踏まえて事業計画を練ってみてください。