【事例】事業再構築補助金の申請・書き方 不動産業編

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

========================================

このページは事業再構築補助金に係わる情報発信をしています。

以下のページにこれまでの情報発信をまとめていますのでご活用ください。

https://www.cyphsjp.com/money/jigyou-saikouchiku/wakaru/

========================================

 

事業再構築補助金に対して注目が集まり様々な場所で質問を受けるようになりました。

製造業や飲食業は方向性を示しやすく申請に向いていますが、「不動産業」においてどのように考えたら良いかという問い合わせがありました。

 

答えからすると中々厳しい申請になると思われます。

そもそも当補助金は、「コロナの影響を強く受けた飲食や観光等の支援」と「大きく事業を見直し、中堅企業に成長する企業」に対して支援をすることが背景にありますので、ダメージはありますが、飲食等まで影響を受けなかった不動産業については補助対象として狙っているわけではありません。

ただし、上手く考えれば不動産業することも可能だと考えています。

 

不動産の仲介業務で考えてみる

不動産業界は非常に裾野が広いのですが、中小企業で行っている業務としては、賃貸や売買の仲介が大半を占めると思います。今回はそれらの仲介業務を行う企業を対象として述べます。

仲介業務としてはお客様の来訪、相談、物件のピックアップ、内覧、契約が一般的です。売買であっても似たようなフローとなります。

それらの各フローを見直すことで何か考えることはできるのでしょうか。

どのような取り組みがあり得るか

こういった場合に有効なフレームワークとしては、ポーターのバリューチェーンがあります。

一言でいうと利益をあげる主要活動(購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスなどの付加価値の増加につながる活動)と間接部門などの支援活動(全般管理(インフラストラクチャー)、人事・労務管理、技術開発、調達などの付加価値をより高めるうえで裏方として取り組まれている活動)に分かれます。

※バリューチェーンについてはいつか述べたいと思います。


事業再構築補助金は売上をあげる取り組みが重要となりますので、今回は不動産売買という主要活動にフォーカスしてお話しします。
以下のようなフローがバリューチェーンの主要活動にあるとします。
・不動産の仕入れ→販売仲介
・不動産の仕入れ→開発又はリフォーム、リノベーション→販売仲介

各フェーズにおいて様々課題があります。

 

1.不動産の仕入れ
仕入れを有効に行うには情報網の整備が重要となります。また、自社に売りたいか、仲介してもらいたいと思ってもらう会社のである必要があります。

そのためには認識されるとともに、お客様とつながる仕掛けが必要となります。

【事業再構築補助金での対応】

〇情報網の整備:相談できるサイトの構築、普及
〇信用される会社の構築:マーケティングオートメーションの導入と相談会、セミナー実施につなげる教育訓練

 ※「マーケティングオートメーション(Marketing Automation)」

旧来のマーケティング活動において人手で実施していた定型的な業務(DM・チラシ配送)や、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう複雑な処理(メルマガ配信)や大量の作業を自動化し、効率を高める仕組みのことです。

2.販売仲介
販売仲介の場合は、レインズ以外での情報発信が重要となります。また、より良い値段で買ってもらうための仕組みが必要かです。

【事業再構築補助金での対応】

〇レインズ以外の情報発信:PRの費用程度

 PRはあくまで付属的なものなため、これだけで申請しても不可と思われます。
〇より良い値段で買ってもらう仕組み:内覧のWEB対応や地域のメリット情報を提供するサービスの開発

 今回の補助金では、「地域経済への貢献」が審査項目となる予定です。地域貢献を軸とした考え方は不動産業において最も訴えやすいと思いますので、この線は「狙い目」だと思いますよ!

3.開発又はリフォーム
新築やリフォームだけでなく、自社ストック(資産)として保有して提供できるサービス開発することで新しいビジネスが考えられます。

仕入れた不動産の価値をあげる取り組みですね。

【事業再構築補助金での対応】

〇サービス開発

 一軒家やアパートを購入しリフォーム、リノベーションして付加価値を生み出すサービスを展開します
・会社の寮として開発
・スモールフィットネス施設の開発
・シェアハウスの開発
・在宅ワーク用の施設として開発
・趣味の部屋として利用可能な間取りの開発
・パーティーのための仕様に開発
・YouTuber専用のスペースとして開発
・曜日貸しの飲食店の開発

・リーフォームを自由にできるスペースの開発(DIYの体験をする場を開発)

以上ざっとあげましたが、不動産を仕入れてただ売るのではなく、ニーズに合わせて価値をあげることで新しい空間ビジネスを開発できます。

ただ、ストックとして不動産を抱えることは、負債も過大になりやすいため、リスクも高いといえますので、注意して実施する必要があります。今まで仲介しかしていなかったのに、いきなりストックビジネスは中々難しいかもしれませんね。
その分最初に申し上げたように、申請としては中々ハードルが高いと思っています。

今回は取り組みモデルを仲介や売買に絞りましたが、コロナを機に社会の変化が起きており、売買以外の需要も出てくると思われます。例えば、観光と不動産を混ぜてみなるなどもアフターコロナとして面白いかもしれません。

変化を感じ取って新しい取り組みを進めてみてください。