【分析】業種転換での申請において最低限押さえておくべきこと

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

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このページは事業再構築補助金に係わる情報発信をしています。

以下のページにこれまでの情報発信をまとめていますのでご活用ください。

https://www.cyphsjp.com/money/jigyou-saikouchiku/wakaru/

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事業再構築補助金について「新分野展開」「事業転換」について説明してきました。

今回は「業種転換」について説明します。

 

指針に示すとおり業種変更を前提とした申請となりますので、現在経営している事業以外の業種に参入することになります。

現在位置する業種が「衰退産業」「成長が鈍化している」「人材確保に限界がある」「遊休資産がある」等の課題がある場合で、改善によるテコ入れが厳しい等はあえて新業種にチャレンジされることはあり得るといえます。

 

業種転換は既存事業をやめることは条件としてませんが、経験のない新たな取り組みとして業種を変更(採用)することは相当なハードルだと考えられます。

申請書としては、全く違うフィールドに進むわけですから書きやすいともいえます。

しかしながら、妥当性や実現可能性などを踏まえると「絵空事」や「絵に描いた餅」と捉えられて事業としての評価が低い可能性があることも事実で、非常に業種転換は難しいと考えられます。

 

一方で、成長性の低い市場に居続けてマイナーチェンジを繰り返しても現実的には成功の確率は低いと考えられるため、業種転換という大胆な手法も政府としては検討したいというところでしょうか。

 

以下業種転換について示させていただきます。

 

1.業種転換とは

新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することです。

これは「直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業で、日本標準産業分類に基づく大分類で指す「農業」「製造業」「情報通信業」「宿泊、飲食サービス業」「サービス業」「 サービス業(他に分類されないもの)」などの変更を求めるものです。

 

指針の事例を見てくださいね。かなりの大幅な変更が想定されます。

・K不動産業、物品賃貸業 …M宿泊業から飲食サービス業…(レンタカー事業は物品賃貸業、ペンションは宿泊業)への転換

・E製造業からG情報通信業…(データセンターは情報通信業)への転換

 

上記考えてみてください、不動産業から物品賃貸業への転換など一見簡単そうに見えますが、レンタカーからペンション経営への転換、事業開始を行うことが簡単にできるのでしょうか。

なかなか難しいことだと考えられます。

 

2.業種転換で求める要件

業種転換に該当するためには以下を満たす必要があります。

・製品等の新規性要件

・市場の新規性要件

・売上高構成比要件

 

(1)製品等の新規性の要件

事例としては建設業者で考えてみたいと思います。

 

①過去に製造等した実績がないこと

建設業者であれば、これまでに建物を建てているのであれば不可となります。

そこで作業的な要素と絡めて建設において発生する廃棄物の処理を実施することにする場合は対象となると考えられます。

 

②製造等に用いる主要な設備を変更すること

建設業者が使う大工道具及び重機などと産業廃棄における粉砕機や分別処理用の機器については大きな違いがあるため新規投資となります。更に、建設業者とは違い分別処理等のための作業倉庫の運営も重要となります。

 

③競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと

建設業者の多くは産業廃棄もやりたいと考えていますが、産業廃棄物処理は中間処理業などにおいて免許の取得が億単位でかかるくらい厳しいものとなっていますので、既存の競合が参入できる市場とはいえません。

 

④定量的に性能又は効能が異なること

廃棄物処理では、廃棄物の種類において処理や分別に違いはありますが、建設業と同じなのは人手がかかるという点であり、性能や効能が全く違うことの証明は容易といえます。

 

(2)市場の新規性要件

①既存製品等と新製品等の代替性が低いこと(必須要件)

②既存製品等と新製品等の顧客層が異なること  (追加評価項目=任意)

 

 

建設はモノを作り産業廃棄はモノを壊すと考えると、建物や物品の新陳代謝、適正な廃棄処理において関係性は薄いといえます。建物を建てる際の既存の建物の処分と考えれば、シナジーがあるともいえます。

顧客層は、いずれも建設施主と考えると大きな違いがないと考えられます。

 

(3)売上高構成要件

ここだけ新分野展開と違いがあります。
3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画である必要があります。

 

つまり、産業廃棄が最も売上高に占める比率が高いということになります。

産業廃棄・処理の分野は中国や東南アジアへの産業処理・リサイクル物の輸出や停滞している中で、国内でどのように対応すべきかという論点が出てきています。

したがって、廃棄物処理業務が「資格をもって実施することができれば」、売上に大きなインパクトを提示することが可能だといえます。つまり、売上高構成比率の最も高い割合を確保できる可能性もあると考えられます。

 

以上業種転換ですが、飲食店やサービス業であれば、運営のノウハウがあるため展開はしやすいですが、ノウハウが個別化している業界においては厳しいと考えられます。

 

そういった意味ではドラスティックに会社の変換に迫られている企業や既存の業種が飽和状態の企業様が取り組んだ方が成功率は高いと考えられます。