2.申請の流れ

補助金(助成金)に申し込むうえで流れをよく理解して申し込む必要があります。

申請者は以下のステップを踏まなければなりません。

相当長いと思いませんか?

上記の流れについて簡単に解説していきます。

 

<募集要項(公募要領)等の内容確認>

募集要項(公募要領)等が国や都道府県等のHPや専用サイトにてダウンロードできますので、それを確認することから始めます。

募集要項には、詳しくはこの後述べますが、以下のような情報が整っています。

・どういった目的でお金をだすのか

・どのような企業や個人を募集しているのか

・金額はどれくらいなのか

・どういった経費が認められているのか

・どういった経費は認めていないのか

・申請書とその書き方

 

<申請書の作成>

申請書の作成は、要件(基準)さえ満たせば通るものであれば、2、3枚というものから、10枚以上記入する必要があるものがあります。

2、3枚の場合は、大抵金額が100万円程度から数百万までという感じでしょうか。

10枚以上記入する場合は、1千万円から数億円までとかなり金額が多くなっています。枚数が多いからというよりは、多額の税金を支払うことに対して金額に見合った証拠を出してもらうことが求められるからです。

また、登記簿謄本や技術や製品、サービスやビジネスモデルなどの資料を添付すると何十枚にもなります。

慣れていない企業様や個人にとってはかなりハードルが高いことが分かります。

そこで、コンサルタントに依頼される方も多くいらっしゃいます(成功報酬で金額の10%を手数料など)。

 

<申請>

申請方法は、大きく3つあります。

・郵送

・インターネット

・持参

 

大半の補助金は郵送となります。直近ではインターネットによる申請も増えてきました。都道府県等の一部の補助金や助成金においては、持参時点で内容の確認や不備を訂正することで、不備書類による不採択(失格)を防ぐ取り組みを行っています。

後でも説明しますが、良い内容の申請書を記載しても、ルールから外れた記載をすることで「0点」扱いになるケースがあります。

採点できないというのは、0扱いになるという現実を認識しておいてください。

 

<審査>

審査は、基本的に書類審査のみですが、製品開発や技術系の補助金の場合は、国や都の研究機関や技術的な専門家による面接審査を行う場合があります。その場合は、1次審査が書類で、2次審査が面接といった形になります。書類の場合は、1次審査が経営で2次審査が技術、または、1次審査が技術で2次審査が経営ということになります。

1次審査に入る前に事務局が受領して、提出書類の不備などを確認します。不備については、事務局の職員から追加の書類提出や未記入個所について変更等の依頼があるものと無いものがあります。恐らく、マンパワーを踏まえやり方を変えているのでしょうが、修正の依頼等がなければ、そのまま審査に入るわけですから「不備」ということだけで「審査されず」に不採択になってしまいます。

依頼があった場合は、ラッキーだと思い指示された通り書類を揃えたり、内容を再修正する等してください。

 

<採択通知>

通知書が採択、不採択にかかわらず送付されてきます。

・採択 やった!

・不採択 残念でした。

 

不採択の際に落ちた理由を企業さんが聞きたいといわれますが、ほとんど答えてもらえないようです。確かに、それをやることで学校の入試でいう対策ができてしまうため、公平性が失われるからでしょう。

不採択の場合は、経営コンサルタントに見てもらうことをお勧めします。

 

 

なお、採択通知というものが届き、採択された場合、どのように補助対象となった事業をどのように進めていくべきかを示した「補助事業の事務処理手引き」が送られてきます。

 

<事業実施>

補助事業の事務処理手引きに沿って事業を進めることになります。

製品・技術開発:技術や製品開発を進めて、申請書に記載の達成すると約束した事項を具体化していきます。

設備導入:期間までに設備導入を実施して、実際に稼働させます。

市場開拓:市場開拓のための展示会出展やHPの製作を進めます。

 

また、外注先に委託したり、部品等を調達したりしますので、それらの取引が適切に実施されている証拠として、様々な書類の提出が求められます。

 

<事業終了後の報告書提出>

製品・技術開発や設備導入が済みましたらそれを証拠書類と共に報告する必要があります。

試作品などの作成を前提としてる場合は、それらの機能や性能が申請したとおりできているかを確認します。

都道府県等の場合は、報告書を提出後、完了検査、確定検査として現地検査を行います。

これは製品や技術が開発されているか、設備が導入されているか等を確認しないと、本当の内容か判断できないからです。

ただし、内容によっては書類と帳票類だけで判断するものもありますが、こちらは事業によって違うため各事務局に確認が必要です。

 

<金額確定後請求書送付>

検査等が済んだ後に、いわゆる「必要最低限の経費」であったかを確認し、さらには事業の目的が達成できているかを判断し、金額を確定します。

申請書に記載されている情報は約束、つまり契約内容なので、契約内容を履行していなければ一般的に見てもお金が支払われないわけですから、シビアに考えてください。

補助金の多くは、申請した内容の一部でもできなければ、全てお金の支払いがないことです。

たまに相談を受けるのですが「10のうち9まで達成したのだから、9までのお金を支払ってくれないものなのか」ということを言われる経営者がいらっしゃいます。

私の回答は「払ってもらえない」です。

契約が不履行なのだから、それに対して文句が言えないような立て付けになっています。

もちろん災害や企業の責によらないことで部分支払いを認めているケースもありますが、それは申請者のほとんどが同じような事象に見舞われるような場合に限られるといえます。つまり、無しということです。

 

<金額振り込み>

長い手続きと取り組みを経て金額が確定し、その金額の1/3、2/3、3/4等の割合で支払われることになります。