· 

歩留まりについて①

こんにちは、中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

 

歩留りという言葉はご存じでしょうか。

 

歩留りとは一般的に以下のようなイメージでいわれています。

製造業:製造業など生産全般において、原料や素材の投入量に対し、実際に得られた生産数量の割合

飲食店:仕入れた食材の中で実際に製品化できる割合

 

今回は飲食店に関して述べます。

 

コロナ感染症の影響で特に飲食、サービスなどのビジネスが厳しい状況になっています。

 

経営の合理化として原価の低減を目指し、少しでも利益体質にもっていきたいという工夫をしている企業も多く存在しています。

 

上記を歩留りの定義とすると、一言でいえば「仕入れたものを有効に活用すること」になります。例えば、牛肉であれば、皮、牛骨、筋、血管などを余すことなく使うということです。

しかし、いくら牛肉をフル活用しても実際に商品化できる割合に限りがあります。肉自体については投入量より増えることがないからです。

つまり牛肉は歩留りの悪い食材ということがいえます。だからこそ割高なのです。


飲食店で歩留りにおいて重要な点は、全ての食材の歩留りを最大化するのではなく、歩留りの悪い食材と良い食材を組み合わせて使用することです。

牛肉は歩留りが悪いが、重要なメイン食材として味わってもらうことで感情的な満足度を高めていきます。これがある程度のお金を出す基準となります。

一方で、手頃な価格とするために添え物のコストを下げることで、お客様の金銭的な満足度、つまりコスパ(コストパフォーマンス)を高めていくことができます。

そのコストを下げる際に重要なのが歩留りといえます。

 

添え物によくあるマカロニで考えてみてください。

乾燥したマカロニを水で戻すとどうなりますか、数グラムが数十グラムに膨らみます。つまり、商品化できる割合、生産量が増えることになります。また、粉物を想像してください。たこ焼き、お好み焼きは粉を水で増やし、総量を増やしています。 

 

最近では、これまでポテトサラダを定食の添え物、小鉢として出していたのを変更しマカロニサラダにしているケースがあります。これはまさにボリュームを落とさずにお客様の空腹を満たしつつ原価低減を図る方法といえます。

 

また、食材自体の総量は増えないのですが、そもそも水を多く含む食品を多用する方法もあります。

レタスは1g当たりの単価が高いですが、大根については一本の単価がレタスよりも安いことがあるため、1g当たりが安くなります。

お客様に提供するサラダの量を150gとしたときに、レタスだけで提供すれば原価が高くなります。一方で、大根と混ぜれば安くなります。

 

このように提供総量とミックスする食材の組み合わせを上手に図ることで原価をコントロールしつつ、食べ応えを提供することが可能となります。

 

※cyphsではこういったメニューミックスを一緒に考えて「原価管理」をしつつ「売上拡大」を目指すお手伝いもしています。

 

しかし、そういったものを突き詰めると、味気がない料理ばかりになりますので、全体の料理メニューのうち何%に抑えるか等の検討が必要となります。また、重要なのは味、食べ応え、触感、香り等様々な要素のミックスとなります(もちろん雰囲気や店員も重要ですよ)。

従って、歩留り目的の料理については、味付け、食感、提供雰囲気に加えて、ソースやドレッシングの開発を積極的に進めて違いを出すことが、選ばれるお店として重要となります。

 

コロナ下でテイクアウトが増えましたが、食べ応えとタレやドレッシングを工夫し、選べる仕掛けやレンジで温め直しても美味しいような加工方法も生き残りにおいて重要な視点といえます。

そして最後に利益と満足が両立できるような歩留りを考えた商品開発を進めていくことが重要です。

お客様の心が荒んでいる今こそ、色々な価値提供をしてみてください。

 

最近メニューが変わったなと思ったら、店舗としては涙ぐましい取り組みをしていると思っていただき、おいしく食べていただけると幸いです。