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【問題解決の手法】歩留コントロール力の向上(居酒屋編)

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

 

歩留まりという言葉を認識されたことはありますでしょうか。当サイトでは繰り返し述べていますが、再度別角度で述べたいと思います。

 

一般的には、「原料(素材)の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数(量)比率」のことです。

計算式でいうと以下のように示せます。

※①から③の式はあくまで歩留まり率との関係性を示していますので注意してください

樹脂や食品であれば①が妥当といえますし、加工部品であれば②が、飲食店等であれば③というところでしょうか。

今回は③の飲食店について検討します。

 

飲食店のメニューをみると大きく分けて米や小麦のような粉もの、牛や豚や鶏などの焼き物及び揚げ物、魚の生もの及び焼き物・揚げ物、スイーツ類などに分類することができます。

また、定食においては、お椀、メイン、お鉢、スープ類等に分類できます。

 

実はメニューミックスをよく考えないとお客様の考える「いわゆるコスパ」とミスマッチしてしまいます。

 

<歩留まり工夫の例>

・大手チェーンの定食を食べる際にお鉢類が変わっていることや野菜の種類が変わっていることがありませんか?

  数年前にメインの添え物が、ポテトサラダからマカロニサラダに変更になっています。

・唐揚げ定食が定番でしたが、大きさ自体は変わらないが衣が厚くなったようなことはありませんか?

・餃子の具材がヘルシーという名のもとに野菜中心になっていませんか?

・ワンタン系の材料で一枚ワンタンなどといって平べったい具なしワンタンを見ませんか?

 

上記については、見た目や味付けのために意識してやられている場合もありますので一概に歩留まりの調整をしたとは言えませんが、味だけでなくコストも考えている形跡があります。

 

先ほど述べたポテトサラダからマカロニサラダに変更することで何が違うのでしょうか。

ポテトサラダはジャガイモを茹でて皮をむきます、食投入量からみると皮とその周辺部分が廃棄されることになります。また、茹でてしまった後なので、でんぷんの伸びは期待できません。つまり、投入量より増えるということがありません。

一方、マカロニサラダといえば、乾燥した数グラムのマカロニが数十グラムに膨らみます。つまり、水と合わせることで最終提供料が増えることになります。

そうです、今回のポイントはこの嵩(かさ)を適切に増すことにあります。

いわゆる粉物が儲かるというのはこういった秘訣となります。

ただし、大阪の多くのお店は出汁や隠し味、タコや天かす、紅ショウガ、のり、鰹節、マヨネーズで違いを出すうえ、特に他店との違いを演出する焼き方により差別化をしています。そういったことから、ぼろ儲けとはいきません(特に人件費と廃棄が多いでしょうし)。

 

しかし、定食やコースを考えたときに、美味しくて嵩を増すことができるメニューも含めることで利益確保が可能となります。

 

もちろん、そのためにはその利益確保の品が創意工夫で味が申し分ないという状態を満たすべきといえます。

 

違う例でいえば、嵩自体は増えませんが、大根のような水分の多い野菜を使うことでサラダの嵩増し的効果を得る取り組みが、総菜屋さんで実施されています。

例えば、大根と水菜のサラダとします。お互い生産がしやすく水気が多い野菜です。

その分水気が多いため、さらさらしたドレッシングだと塩分で水が外に出てくるため、あっという間に水っぽくなってしまいます。

そのため、水分を吸う揚げた野菜や小麦のクルトンのようなものを混ぜて対応するか、またはドレッシングを粘性の高いものにするなどの工夫が取られます。しかし、どういった総菜屋さんもその点はわかっているため、味で勝負となります。

水気の多い野菜は、マヨネーズのようなものでよく食べるのでそういったドレッシングにするか、思い切って塩系のパウダーにするか、ひじきや海苔などの香りを活用するか。

 

上記からするとかえって手間がかかるのではと思うかもしれませんが、お客様はその手間を買ってくれているともいます。

歩留まりを意識しなければ利益率が保てないのが常です。歩留まりを意識しつつ、お客様を満足させることを考えましょう。