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コロナが終了しない場合の状況と対応とは

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

 

コロナ感染症において特に大手企業の財務に影響を与えている項目があります。

 

・休業等による人件費

・在宅ワークによる交通費

・事務所移転による賃料

・在宅ワークによる施設内の通信費

 

売上の減少がありましたが、会社の固定的費用(人件費は変動費という考えもありますので)の見直しが図られたため思ったよりも負担軽減ができた企業もあるようです。

 

さて、中小企業においてはどうだったのでしょうか。大手企業のように在宅ワークを推進する基礎体力及び仕組みが乏しいことが分かりました。もちろん、Zoom等のツールによる交渉などはできますが、商談を勝ち取れる基礎能力の育成までを考えると、SEやゲームソフト、Web制作などの業界以外はなかなか運営に戸惑っているようです。

 

恐らくこのタイミングではワクチンによるコロナの鎮静化を予測できますが、新型ウイルスの変異種に対しても効果が少ない場合などは、経済活動が制限される可能性が高く、中小企業においては未使用だった政府の緊急融資を切り崩し始めるなど事業継続が危うくなることも可能性としては残っています。

 

今回は中小企業においても大企業同様発生する費用について現状と問題を挙げてみました。

〇休業による人件費

<現状>

①休みになった分は減給扱い、余裕のある企業は通常の6割負担等の対応したうえで雇用調整助成金を利用しています

②製造業であれば、現時点でも週2日~3日休んでいる企業等もおり、それらの企業においては雇用調整助成金の6割負担が限界に来つつあります

<問題>

①雇用保険の支払いをしていない企業は対象外となります。また、バイトも自社として雇用保険の支払いを未納指摘された場合、対象外となります(もちろん救済策はありますが)

②半導体に係る微細加工などができる会社は、休みが取れません。一方で、汎用的な技術の会社は、放置されています。つまり、強みに特化した企業とそうでない企業で大きな違いが生じている状況にあります。

 

〇在宅ワークによる交通費

<現状>

①完全在宅にできるネット関連、システム関連の企業は在宅ワークを徹底し、通勤がなくなり交通費が実費扱いとなり定期券の解約が起きていますが、一部といえます

②直接サービスの企業は、あくまで顧客への直接サービスのために来なければならないため、交通費は一部残っています

③製造業は、工場が自動化しているわけではないので、交通費は発生しています。ただし、郊外の場合、自動車や自転車通勤が一般のようです

<問題>

中小企業は、在宅ワークのためのインフラ整備ができていないため、多くの企業で交通費から逃れる余地はありません。そのため、出勤と在宅において両方のコストを負担する状況にあります。

 

〇事務所移転による賃料

<現状> 

①全て在宅にできるネット関連、システム関連の企業はあえて事務所をなくすことで利益を維持し、かつ採用を増やすことで売上増につなげているケースがみられます

②サービス業、飲食店等は、多店舗展開している場合、賃料負担や不採算店舗の圧縮による事務所の圧縮は行っています

<問題>

事務所の廃止はこれからのトレンドになる可能性があります。いかに業容拡大をしつつ、管理部門を縮小するかが課題といえます。

〇在宅ワークによる施設内の通信費

<現状> 

ネット関連、システム関連で事務所をなくした企業以外は、通信費に大きな変動はないようです。ネット関連、システム関連は、在宅ワークによる通信費の保証を交通費見合いとして負担しているケースがあるようです

<問題>

こんなことは中小企業ではできません。したがって、中途半端な在宅ワークが高コストにつながっている状況にあります。

 

上記を踏まえると大手と違い圧縮できる箇所が少ないといえます。

加えて、売上が落ちているわけなのでキャッシュフローの悪化が著しくなり、コロナ感染症関連融資へつながるわけです。

 

ただし、かなりの業種において中小企業の昨年度業績が良かった側面もあり、何とかキャッシュフローを維持できたといえます。

しかし、コロナ感染症が3月以降の緊急事態宣言解除後に再拡大した場合、潤沢であったキャッシュのゆとりがなくなる企業も出てくるといえます。

※製造業の一部、建設業等はかなりの好況ですが

 

大手等の動きや個人の消費の拡大には時間がかかるため、そろそろ別口として融資対応を考えても良いかもしれません。